Access・Excel

現場のAccess・Excel、危険信号チェックリスト ― 当てはまったら要注意の10項目

執筆:編集長 渡辺(株式会社アイナレッジエンジニアリング)

社内で長年使っているAccess(アクセス)やExcel(エクセル)。「今も動いているから問題ない」と思っていても、実はその裏で少しずつリスクが積み重なっていることがあります。

この記事のポイント

  • 属人化・退職・Office更新・エラー・遅さなど、10項目のチェックで今の状態を確かめられる。
  • 当てはまった数は目安。6個以上でも、すぐ作り直すのではなく、まず状態を確認することが大切。
  • 修正・データ移行・一部のWeb化など、今の仕組みを活かして整える選択肢もある。

特に、次のようなものは、作った当初は便利でも、長く使うほど保守や運用の問題が表面化しやすくなります。

  • Accessで作った業務システム
  • Excelマクロ
  • VBAで自動化した管理表
  • 共有フォルダ上で複数人が使っているファイル
  • 担当者が独自に作った社内ツール

まずは、現在使っているAccess・Excelがどのような状態になっているか、10項目で確認してみましょう。

危険信号チェックリスト(10項目)

1.作った人しか中身がわからない

  • AccessやExcelを作成した担当者しか、仕組みを理解していない
  • 修正できる人が社内に1人しかいない
  • 「このファイルは触らないで」と言われている

こうした状態は、典型的な属人化です。今は問題なく動いていても、担当者の異動・退職・長期休暇などが発生した瞬間に、業務が止まる可能性があります。特にVBAやAccessの処理が複雑になっている場合、後から別の人が引き継ぐには時間がかかります。

2.担当者の退職・異動が不安

  • この仕組みを管理している人が退職したら困る
  • 過去に作った人がすでに退職している
  • 仕様書や設計書が残っていない

業務で毎日使っているにもかかわらず、仕組みの内容が担当者の頭の中にしかない状態は注意が必要です。ファイル自体が残っていても、「なぜこの処理をしているのか」「この数式やマクロを変えてよいのか」がわからないと、修正することができません。

3.OfficeやWindowsの更新が怖い

  • Officeを更新すると動かなくなりそうで不安
  • Windowsの入れ替えを先延ばしにしている
  • 古いAccessのバージョンを使い続けている
  • 32bit・64bitの違いで問題が起きたことがある

AccessやExcel VBAでは、OfficeやWindowsの環境変更によって、これまで動いていた機能に影響が出ることがあります。そのため、「パソコンを新しくしたいけれど、このAccessが動くかわからない」という理由で、古い環境を使い続けている企業もあります。本来、業務ツールはパソコン更新の妨げになるものではありません。環境更新が怖くなっている場合は、一度状態を確認した方がよいサインです。

4.ExcelマクロやAccessが突然動かなくなることがある

  • 今まで動いていたマクロが突然エラーになる
  • Accessを開くと警告やエラーが出る
  • 一部のPCだけ正常に動かない
  • 原因はわからないが再起動すると直る

「時々動かないけれど、何となく使えている」という状態も要注意です。一時的に回避できていても、原因が解決されているとは限りません。小さな不具合を放置しているうちに、ある日突然業務が止まるケースもあります。

5.複数人で使うと遅い・固まる

  • Accessを複数人で使うと動作が遅い
  • Excelファイルを開くのに時間がかかる
  • 保存に時間がかかる
  • 「応答なし」になることが増えた
  • データ量が増えるほど処理が遅くなっている

AccessやExcelは、小規模な業務では十分使える場合があります。しかし、利用人数やデータ量が増えると、当初想定していた使い方を超えてしまうことがあります。毎日「少し遅い」と感じる程度でも、全社員・年間で考えると大きな時間ロスになっている場合があります。

6.同じ情報を何度も入力している

  • AccessからExcelへ転記している
  • Excelから別のExcelへコピーしている
  • 同じ顧客情報を複数ファイルに入力している
  • 紙の内容を見ながら手入力している
  • 月末に複数ファイルを集めて集計している

こうした作業は、一見すると数分で終わるため、そのまま続けてしまいがちです。しかし毎日繰り返している場合、年間では大きな作業時間になります。さらに、転記回数が増えるほど入力ミスも起こりやすくなります。

7.ファイルが増えすぎている

  • 「最新版」が何個もある
  • コピーしたExcelが大量に残っている
  • 年度ごと・担当者ごとにファイルが分かれている
  • どのファイルを見ればよいかわからない
  • 同じ名前のファイルが複数存在する

ファイル管理が複雑になっている場合、それは単なる整理整頓の問題ではありません。業務データが分散しているということです。情報が分散すると、「どれが正しいデータなのか」を確認する作業が必要になります。

8.バックアップが担当者任せになっている

  • バックアップを手作業でコピーしている
  • 最後にバックアップした日がわからない
  • どこにバックアップがあるかわからない
  • バックアップから戻したことが一度もない
  • PCが壊れた場合に復旧できるかわからない

バックアップは「取っているつもり」でも、実際に復旧できなければ意味がありません。特にAccessやExcelに重要な業務データを蓄積している場合、「パソコンが壊れたらどうなるか」「ファイルが破損したらどこまで戻せるか」は確認しておく必要があります。

9.外出先・他拠点から使えない

  • 社内の共有フォルダからしか使えない
  • 在宅勤務では利用できない
  • 外出中の営業担当が確認できない
  • 複数拠点で同じ情報を共有しにくい
  • スマートフォンやタブレットから確認したい

AccessやExcelを社内PCだけで使っていた頃は問題がなくても、働き方や事業環境が変わると不便が目立ってきます。ファイルをメールで送ったり、コピーして持ち出したりして対応すると、今度は情報の分散やセキュリティ上の問題が発生します。

10.「壊れたら困る」と思いながら使い続けている

  • このAccessが止まったら業務ができない
  • Excelが壊れたら復旧方法がわからない
  • 修正したいが壊れそうで触れない
  • 新しい機能を追加したいが怖くてできない
  • 「できればこのまま何年も動いてほしい」と思っている

これは非常に重要なサインです。本来、業務を支える仕組みは安心して使えるものであるべきです。「壊れないことを祈りながら使っている」状態になっているのであれば、まだ動いている今のうちに、一度状態を確認しておくことをおすすめします。

いくつ当てはまりましたか?

チェックした項目の数を数えてみてください。数は、今の状態を考えるための目安です。

0〜2個

現時点では、大きな問題が表面化していない可能性があります。現在のAccess・Excelをそのまま利用できるケースも多いでしょう。ただし、重要な業務で利用している場合は、バックアップや担当者依存の状況だけは確認しておくと安心です。

3〜5個

一度、現在の仕組みを点検しておきたい段階です。今すぐシステムを入れ替える必要があるとは限りません。AccessやExcelを改修するだけで改善できるケースもあります。一方で、問題を放置していると、次のようなことをきっかけに、一気に問題が表面化する可能性があります。

  • 担当者の退職
  • OfficeやWindowsの更新
  • データ量の増加
  • 利用人数の増加

大きなトラブルになる前に、現在の構成やデータ、処理内容を整理しておくことをおすすめします。

6個以上

現在のAccess・Excel運用に、複数のリスクが重なっている可能性があります。特に、「業務が止まる」「データを失う」「修正できる人がいない」というリスクがある場合は、早めに状態を確認した方がよいでしょう。

ただし、「6個以上だから、すぐに新しいシステムを作るべき」という意味ではありません。まず必要なのは、現在の仕組みを調べ、何を残すのか、何を直すのか、何を別の仕組みに移すのかを整理することです。

必ずしも「全部作り直す」必要はありません

AccessやExcelに問題が出てくると、「もう全部新しいシステムに作り直さなければならないのでは」と考える方もいます。しかし、実際にはそうとは限りません。たとえば、次のように、現在の仕組みを活かしながら改善できる場合もあります。

  • Excelの数式やマクロを整理する
  • Accessの不具合だけ修正する
  • Accessのデータ部分だけSQL Serverへ移行する
  • 古いVBAを修正する
  • 手作業になっている部分だけ自動化する
  • 一部の機能だけWeb化する

長年使ってきたAccessやExcelには、その会社独自の業務ノウハウが入っています。そのため、「古いから捨てる」のではなく、「今の業務に合う形へ整える」という考え方も重要です。

今のAccess・Excel、このまま使い続けて大丈夫?

アイナレッジエンジニアリングでは、現在お使いのAccess・Excelについて、次のような点を確認し、今後の方向性を整理するためのご相談を承っています。

  • このまま利用を続けられるか
  • どこにリスクがあるか
  • 修正だけで対応できるか
  • データベース化した方がよいか
  • Webシステムなどへ移行した方がよいか

「システムを作ると決めているわけではない」「まず今のAccessが危ないのか知りたい」「担当者が退職する前に確認しておきたい」という段階でも構いません。AccessやExcelは、完全に動かなくなってからでは、業務を止めずに対応することが難しくなる場合があります。まだ使えているうちに、一度状態を確認しておくことが重要です。

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参考・関連リンク

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編集長 渡辺

株式会社アイナレッジエンジニアリング「現場の知見」編集長。CATV、官公庁・自治体、企業の業務システムの開発と保守の現場から、システムを見直す前に確かめたい観点をお届けします。