システム開発

ローコードツールを選ぶ前に ― Pleasanter・Forguncy・FileMakerを比べてわかった7つの観点

執筆:編集長 渡辺(株式会社アイナレッジエンジニアリング)

Excelや紙で回している業務を、ローコードツールでシステムにしたい。そう考えたとき、最初に迷うのが「どのツールを選ぶか」です。代表的な3つのツールを業務の要件に照らして比べてきた経験から、選ぶ前に確かめておきたい観点を整理しました。

この記事のポイント

  • どのツールにも得意なことがあり、一番よいツールは業務と体制によって変わる。
  • 誰が直すか、使う端末、データ量、連携、費用、データの置き場所、将来の移しやすさの7つで比べる。
  • 一覧表だけで決めず、1つの業務で小さく試作し、現場に触ってもらってから選ぶ。

比べた3つのツール

ローコードツールは数多くありますが、ここでは業務システムの外付けや部門の業務改善でよく検討される、次の3つを取り上げます。

  • Pleasanter(プリザンター):株式会社インプリムが開発するツールです。オープンソースで公開されており、Webブラウザで使います。台帳の項目や画面を、設定で作っていけます。
  • Forguncy(フォーガンシー):メシウス株式会社のツールです。Excelに近い感覚で画面や表を作り、Webアプリとして使います。
  • FileMaker(ファイルメーカー):Claris(クラリス)社のツールです。データベースと画面を一緒に作ることができ、パソコンのほか、iPadやiPhoneでも使いやすいのが特長です。

どのツールにも得意なことがあり、「どれが一番よい」とは一概に言えません。大切なのは、自社の業務と体制に合うかどうかです。なお、製品の仕様や契約の条件は変わることがあるため、最新の情報は各社の公式情報で確かめてください。

選ぶ前に確かめたい7つの観点

1.誰が作り、誰が直すのか

現場の担当者が自分で画面や項目を直していきたいのか、作るのも直すのも開発会社に任せたいのかで、向いているツールは変わります。「現場で直せる」ことを重視するなら、設定だけでどこまでできるか、どこから先はプログラムが必要になるかを確かめておきます。

2.どの端末で使うのか

事務所のパソコンのブラウザで使うのか、外出先や現場でiPadやスマートフォンから使うのかを決めておきます。使う端末によって、操作のしやすさや、必要な環境が変わります。

3.データの量と、同時に使う人数

今の件数だけでなく、数年後に増えるデータの量や、同時に使う人数も見込んでおきます。小さく始めたシステムが、利用が広がって遅くなる、ということはよくあります。

4.今のExcel・Access・基幹システムとのデータのやり取り

今あるExcelやAccessのデータを取り込めるか、基幹システムとのデータのやり取りをどう行うかを確かめます。取り込みや連携が手作業のままだと、システム化しても転記の手間が残ります。

5.費用の数え方

ローコードツールの費用は、利用する人数、サーバー、年ごとの契約など、ツールによって数え方が違います。導入時の費用だけでなく、利用者が増えたときや、数年使い続けたときの費用もあわせて比べます。

6.データの置き場所とセキュリティ

データを社内のサーバーに置くのか、クラウドに置くのかを決めます。個人情報などを扱う場合は、ログインの方法、人ごとに見られる範囲の設定、操作の記録が残るかも確かめておきます。

7.将来、別の仕組みに移すときのしやすさ

業務が大きくなったり、ツールの条件が変わったりして、将来ほかの仕組みに移すこともあり得ます。データを取り出しやすいか、作った仕組みの内容を資料として残せるかも、選ぶときの観点になります。

比べる前に、1つの業務で試す

機能の一覧表だけで比べると、実際に使い始めてから「思っていたのと違う」と感じることがあります。対象の業務を1つ選び、候補のツールで小さく試作して、現場の担当者に触ってもらうのが確実です。

試作では、次のような点を確かめます。

  • 現場の担当者が、迷わずに入力・検索できるか
  • 今のExcelの帳票や集計を、無理なく置き換えられるか
  • 例外の処理(差し戻し、修正、取り消しなど)を扱えるか
  • 運用を始めた後、誰がどこまで直せるか

ツールありきではなく、業務から選ぶ

ローコードツールは、うまく選べば、短い期間と少ない費用で業務を改善できる手段です。一方で、業務に合わないツールを選ぶと、結局Excelに戻ってしまうこともあります。

アイナレッジエンジニアリングは、特定のツールの販売会社ではありません。Pleasanter・Forguncy・FileMakerなどを業務の要件に照らして比較・評価してきた経験をもとに、業務の整理とツールの選定からご相談をお受けしています。「どのツールがよいか分からない」「今のExcel業務をシステムにしたい」という段階でも、お気軽にご相談ください。

参考・関連リンク

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編集長 渡辺

株式会社アイナレッジエンジニアリング「現場の知見」編集長。CATV、官公庁・自治体、企業の業務システムの開発と保守の現場から、システムを見直す前に確かめたい観点をお届けします。