Access・Excel

ExcelやAccessから業務システムへ切り替える目安

執筆:編集長 渡辺(株式会社アイナレッジエンジニアリング)

ExcelやAccessなどを使って業務を管理している企業は少なくありません。小規模な業務であれば、ExcelやAccessは非常に便利なツールです。Excelで管理表を作り、業務が複雑になってきたらAccessでデータベース化する。さらにVBAやマクロを使って入力や集計を自動化する。こうした方法で、長年業務を支えている企業もあります。

この記事のポイント

  • 切り替えの目安は「ツールが動かなくなったとき」ではなく、負担やリスクが使い続けるメリットを上回り始めたとき。
  • 属人化、「人を増やさないと回らない」、ミスが許されない業務、社外・複数拠点からの利用は、検討のサイン。
  • 業務拡大の予定があるなら、複雑になる前に整理を始めると移行の負担を抑えられる。

しかし、業務量や利用人数が増えてくると、「まだ使えるけれど、運用するのが大変」という状態になることがあります。

システム化を考える目安は、ExcelやAccessそのものが使えなくなったときではありません。業務上の負担やリスクが、現在のツールを使い続けるメリットを上回り始めたときです。

特に、次のような状態が見られる場合は、業務システムへの切り替えを具体的に検討するタイミングです。

判断ポイント現在のツールを継続しやすい状態システム化を検討したい状態
小規模な業務であれば、ExcelやAccessは非常に便利なツールです。Excelで管理表を作り、業務が複雑になってきたらAccessでデータベース化する。さらにVBAやマクロを使って入力や集計を自動化する。
こうした方法で、長年業務を支えている企業もあります。しかし、業務量や利用人数が増えてくると、「まだ使えるけれど、運用するのが大変」
という状態になることがあります。システム化を考える目安は、ExcelやAccessそのものが使えなくなったときではありません。業務上の負担やリスクが、現在のツールを使い続けるメリットを上回り始めたときです。
特に、次のような状態が見られる場合は、業務システムへの切り替えを具体的に検討するタイミングです。(表)すべてに当てはまる必要はありません。
重要なのは、「今のツールで動いているか」ではなく、「今の運用をこの先も無理なく続けられるか」です。Excelだけではない「担当者システム」の問題特に注意したいのが、ExcelやAccessを使って社内で独自に作られた仕組みです。
業務に合わせて作られているため、長年便利に使われているケースもあります。一方で、「このAccessは○○さんしか直せない」
「このマクロは触ると動かなくなる」「作った人が退職したので仕様がわからない」といった状態になることがあります。
ツールそのものが問題なのではありません。業務の重要な部分が、特定の人の知識や経験に依存していることが問題です。現在は問題なく動いていても、担当者の異動や退職、パソコンやOffice環境の変更などをきっかけに、業務へ影響が出る可能性があります。
こうした状態になっている場合も、システム化を考える重要なサインです。「人を増やさないと回らない」は重要なサイン業務量が増えたとき、
「もう一人担当者を増やさないと回らない」と感じ始めた場合も、一度現在の業務を見直すタイミングです。もちろん、人員を増やすことが必要な業務もあります。
しかし、データ入力転記
集計確認ファイル整理
データの突き合わせといった定型作業のために人を増やそうとしているのであれば、その前にシステム化によって作業を減らせないか確認する価値があります。「ミスが起きたら困る業務」になったら検討する
業務規模が小さいうちは、入力ミスが起きても後から修正できる場合があります。しかし業務が拡大すると、一つのミスが、請求金額の誤り
在庫数の不一致納期の間違い顧客情報の取り違え
売上集計の誤差などにつながる可能性があります。「間違えてから直す」運用ではリスクが高くなってきた場合も、システム化を考えるタイミングです。
システムでは、入力チェック、権限管理、変更履歴などを設けることで、ミスを防ぎやすい仕組みにすることができます。社外や複数拠点から使いたくなったときExcelやAccessを社内の共有フォルダで利用している場合、働き方や事業規模の変化によって不便が生じることがあります。
たとえば、営業担当が外出先から確認したい在宅勤務でも利用したい
複数拠点で同じ情報を使いたいスマートフォンやタブレットから確認したいといったケースです。
このような要件が増えてきた場合、ファイルを共有する方法を工夫し続けるよりも、Webシステムやクラウドサービスへ移行した方が運用しやすくなることがあります。業務が増える前に切り替えた方がよい場合もあるシステム化は、現在のツールが完全に限界になってから始める必要はありません。
たとえば、新しい拠点を増やす担当者が増える
取引件数が大幅に増える新規事業を始める他システムとの連携を予定している
データを経営判断に活用したいといった予定がある場合は、業務量が増える前に仕組みを整えておく方法もあります。長年利用したExcelやAccessには、大量のデータや独自の業務ルールが蓄積されています。
複雑になってから移行すると、「どのデータが正しいのか」「このマクロは何のために動いているのか」
「このAccessの処理を新しいシステムでも残す必要があるのか」といった整理から始める必要があります。そのため、現在は問題なく利用できていても、将来の業務拡大が見えているのであれば、早めに検討を始めることが重要です。
判断するのは「ExcelかAccessか」ではなく「業務に合っているか」システム化を検討するときに重要なのは、「Excelだから古い」
「Accessだからシステムに変える」という考え方ではありません。ExcelやAccessで十分に運用できているのであれば、無理に置き換える必要はありません。
見るべきなのは、毎月どれだけ作業時間がかかっているか同じ作業を何度も繰り返していないか
ミスの確認や修正に時間を使っていないか特定の担当者に依存していないか今後、利用人数やデータ量が増えるか
現在の仕組みが事業拡大の妨げになっていないかという点です。つまり、システム化の判断基準は、
「今のツールがまだ動くかどうか」ではなく、「現在の業務に、この仕組みが合っているか」
です。限界を迎えてから慌ててシステムを入れ替えるのではなく、限界が見え始めた段階で現在の業務を整理する。それが、無理のないシステム化への第一歩です。

それが、無理のないシステム化への第一歩です。

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編集長 渡辺

株式会社アイナレッジエンジニアリング「現場の知見」編集長。CATV、官公庁・自治体、企業の業務システムの開発と保守の現場から、システムを見直す前に確かめたい観点をお届けします。